Canon FT QLの分解
私がカメラを使い始めたのは、とっくにデジカメの時代であり、フィルムカメラといえば、写ルンですくらいしか知らなかった。
フィルムカメラのことを意識し始めたのは、オールドレンズを手に入れ、OM-Dに装着して遊び始めた頃。50mm F1.8のような明るいレンズが千円程度で買える、という安さに惹かれて購入したのがキヤノンのFDレンズ。その重厚な造りにすっかり魅了された。AFなんてものが無かった時代、あらゆる操作がマニュアルであり、今以上にレンズの操作性は重視されたことだろう。実際、ピントリングはスムーズに動き、一方絞りリングはカチカチと節度感のある回り方をする、とても数十年を経過したレンズとは思えない操作感は、当時のカメラを触ってみたいと思わせるのに十分な要素だった。
そんなわけで最初に入手したフィルムカメラがCanon FT QLだ。
キヤノンカメラミュージアムによると、1966年発売のモデル。自分の親が生まれたかどうか、くらいの年代ですな。
このカメラにおける電子的な装備は露出計のみ。シャッターにも電子的な制御が入っていないため、仮に電池がなくとも写真は撮れる(はず)
年代物のカメラ、しかも大した管理もされていないであろうのに、しっかり写真が撮れてしまう。露出計もまぁ動く、正確なのかどうか知らんけど。
動作に問題が無いのは良いことだが、ファインダー内が全体的にくすんでいて、さらに黒く変色した部分がある。撮影できないことはないが、なかなかのストレスであり、結局しばらく遊んでからは使用する機会も激減していた。
再びFTQLのことを思い出したのは、ハードオフをぶらついていた時。偶然、ジャンクコーナーで同型機を見つけた。500円だったか1000円だったかで売られており、少し触ってみると、シャッターが切れない。さらにミラーもカビだらけ、裏蓋の中はホコリまみれと、ジャンクの名に相応しい状態だった。それを見た時、自分の持っている完動品のFTQLって、良い状態だったのでは?という気持ちになり、ファインダー内の汚れを何とかしてみようと思いたった。
前置きが長くなった。というわけで、FTQLのファインダーの汚れの原因を特定していくよ!
下準備
ネットで調べると、分解前にシャッタースピードとASA感度を特定の数値に設定しておく必要があるらしい。
シャッタースピード:1000、ASA感度:100 に設定。
レバーの取り外し
二つ穴にピンセットを差し込み、左方向に回すと外れます。部品の順番に注意。
シャッタースピードダイヤルの取り外し
こちらも二つ穴にピンセットを差し込んで、左方向に回して外します。
ゆるみ止めが塗られていたのか、かなり固かった。
シャッターボタンの取り外し
厳密にいうと、取り外す部品はシャッターボタンの周りの回転部品です。不意にシャッターを切らないようにするためのロック操作を行う部品ですね。
この部品は側面の3つの小さなイモネジで止まっているので、精密ドライバーでイモネジを外すと引き抜けます。ここだけマイナスネジなので注意。
フィルム巻き戻しクランクの取り外し
裏蓋を開けて、フィルムを固定する部品にピンセットやドライバーを差し込んで回らないようにします。
そんで、クランクレバーを半時計回りに回して取り外します(↓こんな感じ)
上部カバー(軍艦部)の取り外し
4つのネジで止まっているので、精密ドライバーでネジを外します。
ここまで終わると、軍艦部を引き抜けるはず。
で、プリズムカバーを外してプリズムを取り出してみると、、、
きったね~な~おい。やっぱりこいつが犯人でした。
プリズムの下は綺麗な状態でした。一応アルコールでプリズムの表面とプリズムの下、ファインダー裏側のレンズも清掃しておいたけど、根本解決にはならず。
綺麗なプリズムが入手できれば、自分で交換可能なことが分かったので、しばらくはハードオフでFTQLを探してはファインダーを覗く日々になりそうです。