トリログ!

クルマとバイク、ときどき自転車

【日本一周の記録】10日目 津波の破壊力を知る

前回はコチラ
tori-tori-tori.hateblo.jp



2013年8月14日(水)

道の駅の休憩所で目覚める。貸切状態だったはずだが、自分が寝た後に1人来られていたようで、自分の他にもう一人横になっている人がいた。起こさないように気を使ったが、やはり物音で起こしてしまった。多少バツの悪い思いをしながら挨拶する。その方もライダーさんで、関東から青森(だったと思う)の実家へ帰省途中だったらしい。ここが良い休憩スポットになっているので、毎回ここで1泊するそうだ。今日は平泉を訪問してから内陸を北上するつもりだったが、震災から復興中の気仙沼を一目見たほうが良いと勧められ、そちらに行くことにした。

f:id:tori-tori-tory:20200821221810j:plain
セローで長距離走行おつかれさまです。


国道284号線を東に進み、気仙沼市街地に入った。気仙沼について、あえて具体的なことは聞かなかったが、何を見せたかったのかが分かった気がした。街そのものが無くなった、としか言い表せないほど、あらゆる建物が基礎を残して消え失せていた。そして、その中に異様な存在感を放つ存在があった。

f:id:tori-tori-tory:20200822000701j:plain

港でもなければ造船所でもない。本来あるはずの無い存在がここに鎮座していた。第18共徳丸というこの巨大な船は、津波によって海岸から800mも離れたここまで押し流されてきたらしい。既に周囲の瓦礫は撤去されていたことが、より一層この船の存在を際立たせていた。この船を震災遺構として保存する計画もあったようだが、やはり震災を思い出して辛いという声が多かったようで、この翌月には解体作業が始まった。

船の近くに仮設コンビニが建てられており、バイクを停める。当時のレシートを見ると、セブンイレブン気仙沼鹿折店というお店だった。グーグルマップで調べると現存しており、仮設だった建物もすっかり綺麗になっていた。周囲も綺麗な街並みになっており、当時の面影は全く感じられない。

観光気分で被災地を訪れることを快く思わない方々も多いだろう。特にこの地に住んできた方々にとっては。それに対して言い訳はしない。興味本位で立ち寄ったにすぎない私だが、それでも被害の大きかった地域の惨状をこの目で見ることができたのは良かったと思う。いつかまた復興した街にも行ってみたい。




気仙沼から陸前高田市へ向かう。復興ボランティアに行った大学の先輩から、「中華食堂 熊谷」という美味しい担担麺のお店があると聞いていた。ほどなくして到着したが、時間が早すぎたようで開店前だった。こちらもグーグルマップで調べてみると、現存しており建屋が新しくなっていた。今度行く機会があったらぜひ食べに行きたい。

f:id:tori-tori-tory:20200822004337j:plain
f:id:tori-tori-tory:20200822004348j:plain


再び内陸側に戻り北上。東北というのは1県1県がかなり大きく、結構走ったつもりでも地図上では案外進んでいなかったりする。夏休み期間中だったため、ある意味時間は無限にあったわけだが、月末に大学のゼミに出席しなければならない日があったため、それまでに東日本を走破して一時帰宅する必要があった。


道の駅 みやもりで休憩していると、出店のおじさんがタダでポップコーンをくれた。さきほど昼飯を逃していたのでありがたい。こうして旅した日々を振り返っていると、ほぼ毎日人から何かを恵んで貰ってるな(笑)

f:id:tori-tori-tory:20200822004838j:plain
f:id:tori-tori-tory:20200822004850j:plain

道の駅の近くで、カメラを構える人たちがいた。めがね橋という電車が映える撮影スポットらしい。尋ねると、もうすぐポケモン電車が通るという。中には川の中に入ってカメラを構えるツワモノもおり、撮り鉄の本気を感じながら、邪魔にならないところを探して陣取った。
f:id:tori-tori-tory:20200822005845j:plain


電車を撮るのは初めての経験だった。EOS Kiss X50はkissシリーズのローエンド機というだけあって、連写速度は2コマ/秒。バッファメモリも貧弱で、あっという間に連写速度が落ちてしまう。シャッターボタンを押すタイミングを逃すと失敗しそうだ。幸いにもポケモン電車が来る前に普通の電車が通ったので、事前練習することができた。


f:id:tori-tori-tory:20200822010205j:plain
1本目。普通の電車が来たので練習。

f:id:tori-tori-tory:20200822010215j:plain
2本目。ポケモン電車。



道の駅から少し走って花巻市に入り、宮沢賢治記念館に行った。
宮沢賢治氏の童話は小学生か中学生の教科書で読んだと思う。イーハトーヴという独特の響きを持つ彼の世界観は岩手をモチーフに造られた、と習った。それから何年かして、実際にバイクで訪れることになるとは想像もしていなかったが、こうして当時学んだ内容が思いもよらぬ所で繋がったりすると嬉しくなる。

そういえばまだ昼を食べていなかった。せっかくなので記念館に併設されている山猫軒というお店で少し遅めの昼食をとる。宮沢賢治氏の童話のなかでも有名な「注文の多い料理店」を再現したお店だ。

f:id:tori-tori-tory:20200822184422j:plain

f:id:tori-tori-tory:20200822185108j:plain

f:id:tori-tori-tory:20200822185121j:plain

f:id:tori-tori-tory:20200822185533j:plain
一番人気のイーハトーヴ定食ではなく、カツカレーを食べた。
花巻産の白金豚を使っているらしい。美味しかった。


ここ2日間宿に泊まっていなかったし今日はゆっくり休もうと、盛岡市のホテルを予約した。盛岡市まではあと数十キロ、明るい時間帯にチェックインできそうだ。宿泊先も決まり余裕ができたので、前々からやろうと思っていた荷物の整理を行った。ここ10日ほど旅をして案外使わなかった物をまとめて実家に送り、荷物を軽量化。これでパッキングの不安はなくなった。これからの旅路を安心して走ることができる。

f:id:tori-tori-tory:20200822185844j:plain
不要な荷物を下ろしたVTR。シートバックの下に積んでいたボックスごと実家へ送った。


荷物の問題が解決したところで盛岡市レッドバロンに行き、オイル交換をお願いした。ネット上ではいろいろ叩かれがちなレッドバロンだが、全国どこでもバイクを見てもらえる安心感は大きい。

f:id:tori-tori-tory:20200822191810j:plain

f:id:tori-tori-tory:20200822191822j:plain
荷物を積んだまま交換作業。降ろすのも面倒だったのでありがたい。


ホテルにチェックインしたのは18時頃。まだまだ明るかったため、ホテルの周りを散歩した。

f:id:tori-tori-tory:20200822192115j:plain
桜山神社という、盛岡城跡公園に隣接する神社の境内にそびえたっていた烏帽子岩

f:id:tori-tori-tory:20200822192151j:plain
参道には良い雰囲気の飲み屋街。適当に入った店で地酒を堪能した。


次回はコチラ
tori-tori-tori.hateblo.jp